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弁護士法人心 藤沢法律事務所

相続放棄と限定承認の違い

  • 文責:所長 弁護士 菅沼大
  • 最終更新日:2025年12月17日

1 相続放棄と限定承認の違い

どちらも、相続が発生した場合に、負債があるときに選択するか検討すべき手続きとなります。

その点では同じといえますが、法律面、税金面では違いがありますので、以下、説明をします。

2 法律・税金の違い

⑴ 法律上の効果の違い

ア 相続放棄

相続放棄は、被相続人のプラスの財産、マイナスの財産、すべての権利義務を一切承継しないという手続きとなります。

期限内に家庭裁判所に対して手続きを行うことで、「最初から」相続人ではなかったものとみなされることになります。

イ 限定承認

限定承認は、あくまでも「プラスの財産の限度」で負債を相続するという手続きです。

結果として、プラスの財産がマイナスの財産よりも多ければ、負債を返済したうえで財産を引き継ぐことができますし、マイナスの財産の方がプラスの財産よりも多い場合は、プラスの財産を引き継ぐことはできませんが、マイナスの財産を引き継ぐこともありません。

⑵ 税金面での違い

ア 相続放棄

相続放棄の場合は、「最初から」相続人ではなかったものとみなされますので、相続税はかかりません。

なお、法律上、「最初から相続人ではない」ことになりますので、相続税の基礎控除額を計算する際に、人数に含めないように誤解されがちですが、基礎控除額の計算においては一人とカウントしますので、その点はご注意ください。

イ 限定承認

限定承認を行う場合は、所得税が発生するケースがありますので注意が必要です。

限定承認を行うと、被相続人の財産を相続人へ時価で売却したものとみなされます。

そのため、相続財産のなかに不動産がある場合は、含み益に課税されることになります。

例えば、被相続人が3000万円で取得した土地の相続時の時価が5000万円の場合は、2000万円に対して所得税がかかることになります。

不動産を実際に売却したわけでもないにもかかわらず、所得税が発生しますので、納税資金に苦慮する可能性もありえます。

3 結論

限定承認は、プラスの財産の限度でマイナスの財産を引き継ぐという便利な制度ではありますが、税金面では所得税がかかることになりますので、実行する前には、税理士や税金面でのアドバイスももらえる弁護士に相談されてから実行することをおすす勧めします。

   

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